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「20世紀少年」にみる本の可能性への試みについて

20070627224011.jpg



先日完結した「20世紀少年」について少し書きます。
まだ未読の人もいると思うので以下隠します。
本誌連載していたときのではなく、コミックス限定のトピックとして読んでください。



撮影場所
東京・杉並・上水公園(07年5月)
使用カメラ
GX8


以下本文。


先日「20世紀少年」が完結を迎えた。
しかしながらその完結は読者にとっては結局のところ何が起きていて、何が起ころうとしていたのかわからない、何も解明されたようには感じられない結びであった。

そのため、残された謎については「21世紀少年」に引き継がれることとなった。

ここに作者浦沢直樹のしたたかさを僕は感じる。ここでその「したたかさ」について触れる前にそもそも浦沢直樹とはどんな作品を描いてきたのであろうか。についてはまず述べたいと思う。

私見を述べさせていただくと、浦沢作品の主人公(男の場合)は気が弱いが何かしら特技を持っている。というところが概ね共通していると思う。
そしてそれを「パイナップルARMY」や「MASTERキートン」では軽いサスペンス(「サスペンス」とするとやや大仰すぎるので「真相隠し、じらし行為」とでもいっておこうか)と心温まる挿話という構成でほぼ一話完結という形で描き、「YAWARA」「HAPPY!」ではスポーツの駆け引きと男女のすれ違い。そして恋愛をテーマにした漫画によくあるじらしを一つの長編として描いているように思う。

その二つの見地にて培われた手法、つまり「じらし」と「一話完結の心温まる挿話」そして「長編として破綻のない展開及び人の機微とすれ違い」の全てを融合しかつ遺憾なく発揮した作品が「MONSTER」ではないだろうか?
ヨハンを追い求めるテンマ。それはある種の恋愛ですらある。そこですれ違う人間の機微、錯綜する情報。それゆえに限りなく近いところに位置しながらルンゲはテンマを追い続ける。
途中でテンマを乗せた警官は彼は犯人ではないといったような話を途中にさしはさむなどして、「じらされた」読者の心を「ほわっとさせる」ことでガス抜きを行い、結果得られた、次の展開までの間が物語そのものの世界観に説得性を増す効果を生んでいる。

と、ここまで書いていくと、あることに気づく。それは別に意外なことでもないが、ここにある構図は、少し関係性、設定を変えるだけでそれはそのまま「20世紀少年」にも大体当てはまるのである。

しかしながら「20世紀少年」が何よりも面白いのは浦沢が「MONSTER」の焼き直しにとどまらなかったところだ。
例えば「20世紀少年」の頭数話。実の所、冒頭数話は冗長すぎて退屈だ。しかしながらその退屈な数話があるからこそ、後に何度もむしろそちらももう一つのメインの時代としてある回想シーンの効果が高まる。
このように浦沢は「MONSTER」という作品で一つの完成形として確立した自分の手法をさらに押し進めていくことになったのが「20世紀少年」ではないかと思う。
そしてその試みは次第に物語の中のみの表現手法を超え「本」そのものの構成にまで及ぶこととなった。
その鼻緒となるものが「ひみつのしゅうかい」のメモではないだろうか?(コミックス12巻)
図書館の本の中の一冊に挟まれたメモ。そのコミックスでの話がそこにたどり着くまさにそのページに実際に挟まれている「みひつのしゅうかい」のメモは読者に今、手に持って読んでいる本が「20世紀少年」ではなくて物語の中の図書館にある本そのものなのではないかという錯覚を生じさせ、結果読者は物語により一層入っていくことになる。

その後もCDをつけたり表紙がそのまま一コマ目など既に試されたことのある試みも含めて、積極的にただの本を超える試みを行ってきたが、その中で一つの面白い試みとしては本が一巻終了する前に新しい巻を(一冊の本の中で)スタートさせるという手法を取り上げてみたいと思う(15巻くらい?)。

それまでもコミックスの巻末見開き2ページくらいには次巻の予告と発売予定時期等が記載されていたが、(この巻末予告のはしりといば個人的には大友克洋の「AKIRA」の4巻であると思うのだがどうだろうか。ちなみに「AKIRA」の4巻では次の巻を完結巻として「金田」の章としていたが実際には「ケイⅡ」の章がはいり予告と異なった内容になっている。これは余談)ここではそういった断片化したコマと文字の情報による予告ではなく巻末で新しいプロローグを挿入することで始まる予告だった。
しかもそれはずっと死んだものとして話に出ていたケンジの帰還(あるいはケンジらしき人物の登場)という読者にとってはその時点で「ともだちの正体」に次いて気になるトピックを新しい巻という形で、かつ新しい話のプロローグという形式で読者の心をひきつけこれ以上のない位の次巻への予告にさせたのだ。

そして先日刊行された「21世紀少年」上巻。
ここで「20世紀少年」という物語は一回リセットされた(実際にはただの続きでもあるにもかかわらず)。
ここで仕切りなおしが行われたことでこれまで既にそれなりの巻数が出ていた故に購入を控えていた人たちの何人かが購入をしたことは想像に難くない。
18巻から買い始めるよりも「上巻」という始まりから買い始める方が誰にとったって買いやすい。

そしてこの「上巻」という位置づけもそれなりにこすずるい。
上だからもうあと少しで終わらすことをにおわせておいているが
次は「中」なのかそれとも一気に「下」なのか?それとも「中の2」といかで引っ張っていくのか?
されにいえば「21世紀少年」でちゃんとした結末となるのか?

という問いはいつまでも続くのだ。

このように浦沢直樹が試している本という媒体の可能性への挑戦。それは必ずしも芸術的というわけでもないし、成功しているわけでもない。けれど、それらは読者をその世界によりのめりこませようとする試みであるとともに、確実にクライマックスに向かいつつある「20世紀少年」とその一連の作品の本がより売れるようにという、したたかな商業主義とうまく融合した表現を続けていると思うのだがどうだろうか。

ばんぱくばんざい

20070627223733.jpg




撮影場所
大阪・万博記念公園・太陽の塔(06年5月)
使用カメラ
GX8

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【2007/06/27 21:37】 | TRACKBACK(0) | COMMENT(3)
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この記事に対するコメント
トモダチーー

ジャンプ本誌の方はいよいよ大詰です。
【2007/07/05 10:48】 URL | ふろ #- [ 編集 ]
マスターキートンは
私の理想の人・・
【2007/07/05 18:02】 URL | yuri #- [ 編集 ]
コメントどうも
>ふろ

ジャンプだっけ?
スピリッツじゃなかったっけ?
今回の大詰めは果たして本当に終わりの大詰めかなぁ~
新しい謎を産み落としてきたりして。。。

>yuri

おっひさしぶりやね。
平賀・太一・キートンは確かに素敵です。
【2007/07/06 09:11】 URL | Nenoved #btrZBFkY [ 編集 ]
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